ルイス・C・ティファニー|ジャック・イン・ザ・パルピット花瓶 1918年
飛騨高山美術館所蔵
「ジャック・イン・ザ・パルピット」とは天南星(てんなんしょう)と呼ばれる亜熱帯に生息する珍しい植物のことで、花の形を模した造形になっています。
アールヌーボーのガラス工芸というとガレやドームに代表されるフランス・ナンシー派が有名ですが、一方でルイス・C・ティファニーをはじめとするアメリカンアールヌーボーの潮流も存在していました。
フランス・ナンシー派が昆虫や植物などを写実的に描いて自然の風景を表現するのに対して、ルイスはゆらめくような曲線を用いてロマンチックな花のイメージを形作りました。
玉虫色に輝くまさに「ファブリル」なガラスの質感に加えて、ドレープのような波打つ表情を作り出すには高い技術力と経験が必要になります。
溶けたガラスをハンドローラーで波状に成型していき、ペンチで切断、成形を行い、細部を整えていくのは熟練の職人でも至難の業。
アールヌーボーの理想を完璧に表現した彼のファブリルガラス作品は、メトロポリタン美術館やニューヨーク近代美術館など世界中の美術館に収蔵されています。