こんにちは。
アンティックかとうWEB担当の杉本です。

アンティックかとう / ギャルリーオルフェより新着品のご紹介や催事のお知らせをお届けいたします。 

 

銀座と名古屋のフェアが終わり店舗では商品整理に追われていました。

11月のラリック展にむけての新入荷も続々と到着していますが、

今回はルネ・ラリックの装飾技法「パチネ」にスポットをあててお話したいと思います。

ふしぎなパチネ
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ガラスという素材から革新的な工芸品を次々に生み出したルネ・ラリック。

ラリックが用いた技法の中でも特にユニークで謎めいているのが「パチネ」と呼ばれるものです。

 

パチネとは「古色」を意味する言葉で、彫刻や建築などが年月を経て古ぼけた風合いを持つことを元々は指します。木目や皮の変色や金属の錆びなんかも古色の仲間ですね。

ヨーロッパではあえて古ぼけた風合いを出す古色技法というものが伝統的にあり、木材にオイルを塗って色を濃くしたり、逆に色あせたように見せたりと、今で言うダメージ加工のようなものが存在していました。

そこから着想を得て、ガラスにパチネを転用したのがルネ・ラリックでした。

 

栓付き花瓶「メプラット・シレーヌ」1920年


ラリックの開発したパチネ技法は、ガラスが冷え固まった後に表面に顔料を塗り、すぐに拭き取ることで、レリーフの窪みにだけ色を残して陰影を作る、というものです。

 

はじめてパチネを目にしたとき、一見ホコリ?汚れ?のように見え、まるで古代の出土品のように感じました。

ところが後からこれは彩色されたものだと知り、それならどうして色あせているんだろう?色落ちしたのかな?と単純に疑問に思ったのですが、わざとそういう加工をしているのだと気付き、さらに驚きました。

 

蓋物「天使坐像」1919年

 

このパチネ彩色は、色の元になる顔料とアラビアゴムを主成分としているそうです。

アラビアゴムと聞くと絵を描いている私は水彩絵の具を思い出します。

特に透明水彩絵の具にアラビアゴムは糊分として多く入っています。

 

透明水彩は、何といっても透明感のある美しい色彩が魅力。

少ない絵の具からでも水をたっぷりと含ませて幅広いグラデーションを表現することのできる画材です。

 

透明水彩絵の具で描いたスケッチ。(私の実家の風景)

 

このアラビアゴム、水彩で使われることからわかるように基本的には水溶性なんです。

いったいどうやってガラスに定着させているんでしょうか・・・。

透明水彩で描いた絵に少しでも水気が触れようものなら色が溶けてしまいます。乾燥後に水は絶対に厳禁!なのです。

しかしラリックのパチネは少しくらい濡れた布巾で拭いても色が落ちることはまずありません。

エナメルのように焼き付けしているわけでもないし、特殊な樹脂を配合しているのではないかと推察しますが、うーん。。。

ほんとうに謎であります。

 

もう一点、紙ならまだしも、ガラスって表面がつるつるなのにどうやって色を染み込ませているんでしょうか。

そこはもう一つの技法「サチネ」という艶消し加工によるものが大きいと思われます。

ガラス表面を酸で荒く溶かすことでパチネが定着しやすいようにしています。

よく見るとパチネが乗っている部分は曇りガラスのようになっていますよね。

 

それにしても、クリアなガラスを溶かして顔料をかけるなんて、ガラスの透明感を奪うような行為にも思えますが、新たな技法に挑戦するラリックのユニークさを感じます。

 

灰皿「ダリアと蝶」1931年

 

セピア、ブルー、グリーンなど、パチネにはいくつかの色の種類があります。

同じ作品で異なるパチネのカラーバージョンも制作されています。

 

花瓶「カワセミ」1923年

 

こちらは2色のパチネが入った珍しい作品。

2色使いの作品は他に「バッタ」などもありますが、初期に制作された希少なものです。

 

花瓶「矢車菊」1914年

 

こちらも最初期の作品で、パチネ彩色が大変美しいです。

淡い陰影が水彩画のような印象を生み出しています

 

いかがでしたでしょうか。

ガラスに幻想的な風合いを残すラリックのパチネ技法。

水性塗料をどうやってガラス表面に定着させているのか、謎の多い技法でもあります。

そのため取り扱いの注意点として、軽く拭くぐらいでしたら問題ないのですが、長く水に触れさせたり、ゴシゴシ擦ったり、洗剤を付けたりすると色落ちの可能性があります。水彩絵の具ほど神経質になる必要はありませんが、どうぞご注意ください。

 

そして同じ作品でもパチネの風合いが違ってくるのも面白いところです。(web販売では非常に厄介なのですが・・・)

当時は製品の見た目を均一にしないといけないという感覚が今ほどなかったのでしょうね。

パチネの濃さや拭き取りの具合によって一点一点異なる味わいをまるで本当のアンティークのように当時の人々は楽しんでいたのでしょうか。

ぜひラリックのパチネの魅力を感じていただけたらと思います。

ピックアップ!
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ルネ・ラリック|ゴブレット「6人の肖像」1911年

▷ 作品を見る

 

古代風の女性像のレリーフが刻印された初期の名品です。

セピアとグレーのパチネ、通常より底が厚い初期モデルも1客のみ入荷しています。

 

ルネ・ラリック|皿「人物と花」1920年

▷ 作品を見る

 

女性像モチーフの小ぶりな皿作品。

裏側のレリーフにパチネ彩色が入っており、ラリックらしいやわらかな表現が魅力です。

 

ルネ・ラリック|皿「プイィ」1932年

▷ 作品を見る

 

魚の縁飾りが入ったテーブルプレート。

数枚のみ入荷しています。緑のパチネの風合いが一枚ずつ違います。

作品について購入希望・ご質問ございましたら、お気軽にフォームよりお問い合わせください。その他メールやお電話でも承っております。

どの作品も一点もののアンティークにつき、店舗にて在庫数やコンディションを確認した後にご連絡をさせていただきます。

在庫状況によってはお時間を頂戴いたしますが、どうぞご了承ください。

お読みいただきありがとうございました。

めっきり日が暮れるのが早くなりました。

秋の夜長を楽しみましょう~。

次回配信もよろしくお願いします!

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